事業脚本家という生き方。

フィールド・フロー代表取締役 渋谷 健のブログ。

アウトカム?アウトプット?カタカナで表す”観点”の意味を整理してみた

 カタカナの意味を整理してみようシリーズ 第4弾。今回はアウトカムやアウトプットなど観点を表す言葉を整理してみたいと思います。いつものごとく、事業脚本家としての経験を踏まえ、今回も愛読書「キングダム」を例えに使って。なお、毎度のことながら一般的な定義とは異なるので、悪しからず。

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 まずは前提整理。今回はカタカナで表す観点についての整理を行っていきます。観点は視座という言葉でも置き換えられます。何を意識してものごとを捉えるか、というところの違いは、観点の違いということになります。また、観点なので切り替えることができます。ひとりで複数の観点を持つこともできます。そして新たな観点は教育を受けたり、経験を積むことで得ることもできます。

 では、今回もカタカナで表される取組・成果がどんなものかイメージしやすいように、漫画「キングダム」を例にとって解説していきます。


〇アウトカム : 社会的影響
 社会に対する影響を意識する観点です。社会が抱えてる課題をどう解決できるのか、社会にどのような価値をもたらすのか、といったことを考えます。短期的だけでなく、将来にわたっての超長期的な観点でも考えることが必要になります。
 キングダムでは秦国の王・政や、丞相の昌平君が常に持ってる視点でしょう。中華統一を図るために、いまの一手がどのような影響を民に周辺諸国に影響を与えるかを考え、動く姿に重なります。

 

〇アウトプット : 成果
目的の達成度合い、直接的な成果を意識する観点です。成果を上げた後の影響は入りません。事業としての成果であれば、市場シェア、認知度、売上、利益などが挙げられます。投入した資本(お金や時間など)に対して、得られるものを評価する考え方です。比較的短期的な観点で考えることになります。
キングダムでは一つ一つの戦での勝敗が成果にあたります。故に主人公・信をはじめ、戦場に出る「勝利」を義務付けられた将たちの姿、武功を挙げていく姿が当てはまります。

 

〇アクティビティ : 活動
 実際にやっている活動自体を意識する観点です。成果をあげることよりも、与えられたことを着実に進めることが重要になります。予定通りであること、問題が起きてないことを評価する考え方です。目の前の事象に焦点を当てる考え方です。
 キングダムでは初期の主人公・信のイメージが当てはまります。目の前の相手をとにかく倒せばいい、と考え突き進んでいきます。他にも一般兵にも多い観点かもしれません。目の前の戦を生き延びる、という観点ならなとさらです。


モデリング : 企画構想
 企画や構想を整理し、書き上げることを意識する観点です。実際に動くかどうかではなく、いかに論理的にまとめられるかを重視します。人を納得させる、説得する、理解を得ることを大事にする考え方です。内部管理を大事にする観点と言ってもいいかもしれません。
 キングダムでは文官たちの仕事が当てはまりますね。または軍師学校で学び、実践経験がなかった蒙毅などもイメージとしては重なります。


〇スタディ : 調査探求
 物事の原因を探ったり、研究したり、考えたりすることを意識する観点です。理解をすること、整理をすること、解明することを重視します。研究肌です。自分の関心ごとに焦点を絞って自身の知恵・技能を磨く観点ともいえます。
 キングダムでは趙国三大天 龐煖の姿が重なります。龐煖は将軍というよりも求道者であり、武神として生きることがすべて、強さを磨くことがすべてです。だからこそ、独特の世界観をもたらしています。


 このように整理すると、アウトカム:社会的影響>アウトプット:成果>アクティビティ:活動>モデリング:企画構想>スタディ:調査探求という形で、観点が絞り込まれています。そして当然、同じ物事でも観点が異なると、見えるものが変わってきます
 例えば、キングダムでは同じ一つの戦場でも、アウトカム:社会的影響では中華統一に向けた一手ですが、将軍たちにとっては自分たちのアウトプット:成果のために全力を尽くす機会、そして末端の兵隊たちにとっては戦場を生きるための知恵を得るスタディ:調査探求の機会ということになります。
 ものごとを考えていくためには、状況に応じてどの観点を入れるか、どう組み合わせるかを知っていくことも必要なのですね。

 

 

イノベーター?アーリーアダプター?カタカナ資質を整理してみよう。

 カタカナを整理してみようシリーズ第3弾。今度はイノベーターとかアーリーアダプターとか、カタカナで表現される資質について、事業脚本家としての経験を踏まえ、今回も愛読書「キングダム」を例えに使って整理してみたいと思います。今回も一般的な定義とは異なるので、悪しからず。

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 カタカナで表される資質について、まずは前提を整理してみましょう。今回はイノベーター理論をもとにした整理をします。イノベーター理論というのは、1962年にスタンフォード大学社会学者であるベレット・M・ロジャース教授が提唱した理論です。もはや古典ともいえる理論ですね。イノベーター理論の中で使われている、イノベーターやアーリーアダプターといった定義を資質を表す言葉と位置付けて整理をしていきたいと思います。

 では資質とは何でしょうか。辞書によれば「生まれつきの性質や才能。資性。天性。」(出典:デジタル大辞泉)です。もともと持って生まれたもので、基本的には与えたり、新たに身に着けることはできないもの、とここでは位置付けたいと思います。もちろん、自分が持っている資質に気づけば、磨くことができる、ということも併せて前提に置きたいと思います。

 そして今回もカタカナで表される資質がどんなものかイメージしやすいように(一部の方にとって)、漫画「キングダム」を例にとって解説していきます。なお、コワーキングスペース秘密基地にはキングダム全巻を揃えてあり、こんな話をよくしている仲間がたくさんいますので、よくわからなければ秘密基地に来ていただくのが一番です。

 

〇イノベーター : 傾奇者
 前例にとらわれず、周囲の意見に流されることもなく、我が道を切り開き、進む人が持っている気質。周囲からすると変わり者、理解不能な人に見えます。度肝を抜かれちゃったりします。先人を超えていく力がある人たちですが、一代限りで終わることも少なくありません。イノベーター理論では革新者と呼ばれます。
 キングダムでは、なんといっても呂不韋でしょう。商人の身分から、賄賂を駆使し、権力関係を駆使し、王を除く最高位である相国まで上り詰め、秦国の実権を握るに至りました。また、中華統一を一点の曇りなく目指す秦王・政や、百を超える部族をまとめげ、秦との盟友を結び、勢力を一気に拡大する山界の王・楊端和の姿もイノベーター:傾奇者と言えます。


アーリーアダプター : 先導者
 イノベーター:傾奇者を含めた先人たちから敵も味方もなく純粋に学び、可能性の芽にいち早く気づき、理解し、取り入れ、実現していこうとする気質です。周囲からすると、〝アイディアマン”、“もの好き”、〝挑戦的”な人に見えます。あとに人が続けるように道を示し、創る力がある人たちです。イノベーター理論では初期採用者と呼ばれます。
 キングダムでは合従軍を起こした李牧の姿が当てはまりでしょう。知力によって多数の国を巻き込んで、秦国を窮地にまで追い込んだ手腕には、新しい時代を創る力を感じます。同様にかつて秦に君臨した王毅ら六大将軍も、ひとつの時代を創ったという点からアーリーアダプター:先導者と言えるかもしれません。


〇アーリーマジョリティ : 賛同者
 アーリーアダプター:先導者の姿を見て、憧れて、自らの意思で彼らと同じ道を歩もうとする人たちの気質です。周囲からすると、“時流に乗っている”、“いまどき”な人に見えます。実際に時流を見極めて、流れに乗る力があります。イノベーター理論では前期追随者と呼ばれます。
 キングダムでは主人公の信など、武功を挙げて立身出世を成すことに夢を見る登場人物たちが重なります。蒙恬や王賁といった秦のライバルたちも当てはまります。


〇レイトマジョリティ : 同調者
 アーリーマジョリティ:賛同者の様子を見て、周りに流されるようにものごとに関わるひとたちの気質です。周囲からすると、“ふつう”、“人間らしい”、“親近感がもてる”ような人に見えます。周りに対して安心感や安定を与える力があります。イノベーター理論では後期追随者と呼ばれます。
 キングダムでは主人公である信とずっと一緒にいる、尾平や渕などが重なります。とても人間臭く、愛すべき人物であり、上手に信の手綱を握るあたりの姿からは、影の功労者と言ってもいいかもしれません。


〇ラガード : 頑固者
 周りがどうあっても動かない、流されることのない、頑なな気質です。周りから見ると“気難しい”、“とっつきにくい”、“頑固”に見える人たちです。一見、否定的な表現が並んでいるように見えますが、実は伝統を守ったり、文化を守るための、継続する力に長けています。イノベーター理論では遅滞者と呼ばれます。
 キングダムでは飛信隊がたまたま助けた徐の国のの民などは重なります。伝統を重んじ、たった城一つとなった今でも国として生き続けている。自国の生業である情報を扱いながら。そこには武将とは違う逞しさを感じます。

 

 こうした資質はどれが良い・悪いはありません。例えば、全員がイノベーター:傾奇者だったら世の中崩壊してしまいますし、全員がレイトマジョリティ:同調者だったら何の変化も起きない停滞が続きます。だからこそ、一人一人の資質を見極め磨くことが必要になるわけですね。

農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」大阪レポート ~最大の課題は”ひと”~

 2/22は農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」の第6弾を大阪で開催してきました。この日は花粉症のためにコンディションが悪く、お聞き苦しい進行となってしまい、来場された皆様にはお詫び申し上げます。内容は、人の育成の重要性に強く焦点があてられました。

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 今回は農業法人の株式会社穂海 代表取締役 丸田氏が登壇。実際の農業法人の経営現場からの本音をうかがえる貴重な機会となり、来場された皆様も非常に関心を寄せていました。とくに同社ではコメの流通モデルを変え、消費者だけではなく、生産者にもコメを提供するビジネスモデルを確立しており、事業に対するチャレンジは目を見張るものがありました。

 続いてのパネルディスカッション。冒頭にあったのは「失敗」の体験も共有したいという言葉でした。成功事例はたくさんあれど、失敗した事例はほとんど出回らない。しかしながら、失敗から学ぶことは多い。つまり「失敗を通じて得た学び」を共有していくことが、日本の農林水産業においては非常に重要という意見が強調されました。

 そして「失敗から学ぶ」という観点から次に出てきたのはリスクマネジメント。事業にはリスクがつきもので、このリスクをどこまで抑え込むか・対応可能なものにするかが重要だという議論に移ります。結局のところ、リスクを抑えるためには多くの知見や支援が必要であり、リスクマネジメントの観点でもネットワークは必要性が高いという議論となりました。

 とくに長期的な観点で研究開発・事業投資を行う場合はリスクが非常に高くなります。またリスクを乗り越えた先にあるリターンについても、抽象的なものしか見えなくなります。したがって、ネットワークを構成しておくことは、とくに長期的な観点で研究開発や事業を行っていくうえで有効だということが見えてきました。

 しかしながら、これらネットワークを活かし、リスクマネジメントを行い、失敗からも学んでいくためには、ネットワーク全体を統制していくことが必要です。当然ながら、ネットワークを統制できる人が必要となります。また、統制するひとだけでなく、参加するひともネットワークを理解していなければ瓦解してしまいます。しかしながら、こうしたひとは育っていないのが実情です。議論の中でも、結局はネットワークを活かして成果を創り出していくひとが育っていないことが大きな課題として共有されました。

 では、どうするか。幸いなことに天才的にやれてしまう、個の力で突破できるひとは決して多数ではありませんが存在します。こうした個の力で動ける、いわゆる“出る杭”を徹底的に伸ばす。そして“出る杭”がなぜ“出る杭”になり得たのか、成果に結びついたのかを研究し、定石として何が必要かに落とし込み、教育プログラムにして展開していくことがひとつのやり方として考えられます。いずれにおいても、ひとを育成していく、次世代を育てる、ということは研究ネットワークを価値あるものにしていくために重要な要素になりそうです。

 

リーダーシップ?フォロワーシップ?ファシリテーション?カタカナ能力・スキルを整理してみよう。

 カタカナを整理してみようシリーズ第2弾。今度はファシリテーションとか、リーダーシップとか、フォロワーシップとか。カタカナで表現される、組織内で必要となってきている能力・スキルについて、事業脚本家としての経験を踏まえ、今回も愛読書「キングダム」を例えに使って整理してみたいと思います。一般的な定義とは異なるので、悪しからず。

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 カタカナの能力について、まずは前提を整理してみましょう。ファシリテーションやリーダーシップ、フォロワーシップなどはあくまでも能力です。そしていずれも組織内、ひととひとの関係性の中で必要な能力です。役割ではありません。したがって組織に紐づくものではなく、個人に紐づくものです。複数持つことができますので、当然、役割と組み合わせていくこともできます。また、育成することも可能です。次になぜこのようなカタカナの能力が出てきたかというと、やっぱり輸入したから。そしてそのときに日本語に翻訳しないまま普及してしまったからなのでしょう。

 ではこれらのカタカナの能力はどんなものでしょう。どんなシーンで役に立つもので、どういった効果あがるものでしょうか。そこで今回も、いろんな人間模様も描かれる漫画「キングダム」を例にとって整理していきたいと思います。突っ込みどころ満載、ご容赦を。


〇リーダーシップ : 影響力
 自らの意思(考え方・想いを明確に示し、ひとに影響を与え、動かす能力です。自分がどうしたいか、どんな将来を実現したいか、ということを明確に示す。複数ある選択肢の中から決断したり、また、不確実な状態でも踏み出していく。そして周囲の共感を生み出し、動き出す・動いてもらうことを実際にやる力です。
 キングダムでは秦の国王・政、伝説の六大将軍・王毅、そして主人公・信も、このリーダーシップ:影響力を発揮します。一番、私が好きなシーンは秦国が存亡の危機に瀕した時に、兵隊ではない女性・子ども・老人を演説一つで奮い立たせた、蕞(さい)でのワンシーンですね。


フォロワーシップ : 協調力
 リーダーシップ:影響力を発揮する・しようとする人に対して、その意思を組んで信じて動く、協力する、同調する能力です。目指す将来像に共感し、その背中を応援し、信じて一緒に道に踏み出しいく・全力で進んでいくための力です。リーダーシップ:影響力を発揮する・しようとする人に対して、活力・勇気を与える力でもあります。
 キングダムでは政を支える昌文君を始めとする家臣たち、王毅を支える隊長たち、信の仲間たちですね。“将軍が戦闘を行くとき、兵は鬼神と化す”という状態がまさにそれです。


〇マネジメント : 対処力
 物事が進んでくなかで変わっていく状況を適切に把握・分析し、問題を発見し、冷静に対処していくための能力です。リーダーシップ:影響力を発揮する・しようとする人や、フォロワーシップ:協調力を発揮する・しようとする人たちが安心して動いていくための環境を整える力でもあります。
 キングダムでいうと秦国の王・政を支えるため家臣たちをまとめ、信に頭を下げ、敵対勢力だった李氏の協力を仰ぎ、ときに戦場にも出る昌文君のイメージですね。昌平君や河了貂などの軍師もイメージとして当てはまります。


〇オペレーション : 遂行力
 決めたこと・決められたことを、決められた通りに忠実にやり切る能力です。仲間の目となり、足となり、手となって代わりに動くための力です。
 キングダムでいうところの兵隊たちです。羌瘣(きょうかい)が蚩尤(しゆう)として暗殺の任を受けて動くときなどもこの能力が発揮されるところですね。


コーチング : 促進力
 決めたこと・決められたことにむけて行動を促進するために必要な知恵を与えて、やる気を起こさせて、学びや気づきを得ていいけるようの支援する能力です。人を育てる能力でもあります。
 キングダムでは、主人公の信が出会う人たちがことごとく見せつけてくれています。将軍王毅を始め、敵対した輪虎、ライバルの蒙恬(もうてん)や王賁(おうはん)たちが信に送っている言葉がまさにコーチング:促進力となっていますね。


ファシリテーション : 調律力
 多種多様な考え方があり、立場がある中で、それぞれの力を最大限に発揮できる関係性を創っていく能力です。お互いに響き合う関係性を、楽器を調律するかのようにつくる力です。
 キングダムでは圧倒的にこの能力を発揮したのは、李牧でしょう。合従軍を立ち上げ、秦国に攻め入るにあたり、対立してきた列国を協調関係に持ち込んだ手腕は見事です。

 

 ちなみにこれはあくまでも能力です。似たような言葉で役割を表すことがありますが、それは上記のような能力を発揮することへの期待の表れということですね。
 

プロデューサー?ディレクター?それってなに? カタカナ役割名を整理してみよう。

 最近、企業でも行政でも仕事をしているとカタカナの役割がついている方が増えてきました。プロデューサー、コーディネーター、ディレクターなどなど。ただどれもいまいち違いが分かりにくい。ということで、事業脚本家として現場でやってきた経験を踏まえ、漫画「キングダム」で学んだ私の浅い戦国の知識を組み合わせ、カタカナの役割の意味を整理してみます。

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 カタカナの役割の意味を整理するにあたって、いくつか前提を考えてみましょう。まず、基本的には達成すべき目的を共有している組織上の役割を、カタカナを使って表現しているにすぎません。ただし、従来の日本的な役職(部長、課長など)では表現しきれないため、英語を基にしたカタカナが役割を指す名詞として使われています。これは海外のビジネスモデルや、その中で使われてる役割の名称を参考にしてきた結果なのでしょう。言い換えれば、ちゃんと翻訳作業をしていなかっただけ、ということかもしれません。

 では、意味を整理するために、海外のビジネスモデルので使われてきた役割の名称が、何を参考にしていたのかを捉えておきましょう。それは軍隊の仕組みです。軍隊は古くから組織的に行動することが求められ、組織論に限らずビジネスの現場ではその知見が応用されています。では、どこの軍隊か。これを突き詰めていくと、ローマ帝国とか三国志とか、あのあたりの時代になるのでしょう。

 そんな折、たまたま目についたのが愛読書である漫画「キングダム」。その面白さを伝えるときりがないのですが、舞台となっている中国・春秋戦国時代の秦の体制は参考になりそうです。というわけで、今回はビジネスの現場で使われているカタカナの役割の意味を、漫画「キングダム」で学んだ当時の体制に照らし合わしながら、整理していきたいと思います。突っ込みどころは満載なのは、笑ってやってくださいませ。


〇オーガナイザー : 最高責任者
 組織全体の最高責任者です。組織が目指す将来像を示し、ひとを惹きつけ、大局を動かすことが仕事です。キングダムでは秦の国王である政であり、呂不韋がなりたかったものですね。

 

〇プロデューサー : 総指揮者
 最高責任者が目指す将来像に向けて、広く深い知見から、長期的な視点と短期的な視点、組織内外への意識などを織り交ぜて、具体的に戦略を描く総指揮をとる役割です。キングダムでは軍総司令の昌平君や丞相の昌文君が担う役割です。

 

〇ディレクター : 現場責任者
 総指揮者の戦略に基づいて、実際に具体的な活動を現場で取り仕切る際の現場責任者としての役割です。現場で起きる状況の変化に自らの判断で局面に対応していきます。このための裁量権も与えられています。キングダムでいうと、王毅王翦、桓騎などの将軍が該当します。千人将からは局面を変える力をもつ、ということなので成長した信はこのあたりですね。

 

〇コーディネーター : 現場調整役
 現場責任者が役割を全うできるよう、変化し続ける現場環境の中で必要となる情報を集め、状況を整理し、必要な策を練る役割です。キングダムでいうと、信の部隊の軍師である河了貂ですね。

 

〇プレイヤー(アナリスト/エンジニア/リサーチャーなど) : 実務担当者
 実務責任者の手足となって、現場での実務にあたる担当者です。それぞれの専門性や適性を活かして活躍します。個の力で局面を打開する力が求められます。千人将になる前の信や、蚩尤として動く羌瘣はここですね。
 ちなみにアナリストは分析官でものごとに対して考察を重ねる役割、エンジニアは技術者で何かものを創ったり直したりする役割、リサーチャーは調査員でものごと調べる役割といった感じです。


ちなみにこれらに、"チーフ"とつけると、例えば同じディレクターの中でもちょっと上位の位置づけで、管理責任がある立場ということになります。逆に“サブ”とついていると、補佐的な立場ということになります。

 

ラグビー×秘密基地 2019年に向けたスポーツコミュニティが始まります。

 2/18、ミクニワールドスタジアム北九州こけら落としイベント「ラグビードリームマッチ サンウルブズ VS トップリーグオールスターズ」を記念して、秘密基地にてラグビーファンミーティングを開催しました。当日は元日本代表監督の向井昭吾さんにもお越しいただき、全国からこの日の試合を見に来たコアなラグビーファンを迎え、トークショーあり、ライブステージあり、秘密基地らしい交流ありの楽しい時間を創ることがでいました。秘密基地を起点に、2019のラグビーワールドカップ、そして2020年の東京オリンピックに向けて、スポーツを通じた地方創生を動かしていきます。

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 2/18は北九州の新スタジアム「ミクニワールドスタジアム北九州」のこけら落とし
フィールドと観客席が近く、海に隣接したこのスタジアムは北九州地域のスポーツの象徴。そして日本最高峰のラグビーゲームが最初のゲームに選ばれるなんて、粋じゃないですか。

 ラグビーは1980年代にドラマ「スクールウォーズ」の影響もあって大ブームになり、その後はだんだんと熱が下がってきていました。しかし2015年のラグビーワールドカップでの日本代表の奮闘、南アフリカへの大金星、五郎丸選手のブレイクをきっかけに熱が再燃。2019年にはラグビーワールドカップ日本大会の開催も決まり、今まさに注目すべきスポーツだといえます。

 加えて、ラグビーは日本でこそ、野球やサッカーに比べてテレビ中継や観客動員数は少ないですが、世界的に見れば大人気スポーツ。スポーツの世界三大国際大会も、オリンピック、サッカーワールドカップラグビーワールドカップの3つとなっています。

 さらに地方創生という観点で見ると、オリンピックよりもより重要なのはラグビーワールドカップです。理由は単純で、オリンピックは都市開催であり、2020年はなんだかんだ東京に一極集中します。これに対してラグビーワールドカップは国単位での開催。2019年も全国各地域にまたがって開催され、地方においては大きな大きな世界に対するPRのチャンスなのです。そして2019年に十分にPRができているならば、2020年のオリンピックで東京に集中する外国人観光客を、例えば観戦終了後のプラスアルファの旅行先として地方に誘致していくことが十分に望めます。

 このような要素から、ラグビーを盛り上げていく、ということは単にラグビーファンを増やすという意味以上に、非常に大きな意味があることなのです。加えて北九州は九州ラグビーの聖地新日鐵住金八幡ラグビー部の前身である、製鉄ラガークラブが創設された地域でもあります。また、日本で初めて4月に開催される7人制女子ラグビーの世界大会 ワールド女子セブンズラグビーの開催地も北九州。2019年のラグビーワールドカップで強豪ウェールズのキャンプ地になっているのも北九州。つまり何が言いたいかというと、北九州の新スタジアムのこけら落としイベントがラグビーであることは、見た目以上に価値のあるものだったのです。

 そして2/18のラグビードリームマッチ サンウルブズ VS トップリーグオールスターズ」は間違いなく国内最高峰のラグビーゲーム。当然ながら全国各地からコアなラグビーファンが集まってきています。こうした方々に楽しんでもらい、つながり、新しい可能性をつくっていくからこそ、本当に価値あるイベントとなります。だからこそ、細かいこと抜きにまずはしっかりと歓迎する雰囲気をつくる・楽しんでいってもらうことが必要。ということで、秘密基地にてファンミーティングを開催することになったわけです。

 こんな想いに応えてくれたのが、元日本代表監督の向井昭吾さんやキューデンヴォルティクスの選手たちを始め、MCを務めてくれたRKBの植村友紀さん、スポーツ応援ユニット「ベスラガ」(Baseball Girls & 桜Ru.girl)、禁断少女、メタルラックといったタレントの方々。

 ゲーム中はキューデンヴォルティクスの選手による解説付きでドリームマッチ観戦。そしてちょっとしたトークセッション。禁断少女の皆さんがリフトされてる絵とかだいぶ面白い。

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 夕方からの第二部では、ファンの方々が続々と集まり、植村さんのMCで、向井さんのトークショーからスタート。ファンの皆さんは東京、横浜、埼玉、大阪、宮崎などなど全国各地からいらっしゃってくださいました、

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 向井さんのトークで印象的だったのは、「心技体」の必要性の話。そして特に心を鍛えることが必要であり、そのうえで体を創り、技を磨くことだということ。また、個の力でできることは限られるが、チームになればできることが変わる、ということ。秘密基地で大切にしていること、創生塾で伝えていること。まちはチームだでやろうとしていることと全く一緒。ラグビーの精神はまちづくり・地方創生の現場に活かすべき点が多いと感じました。

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 休憩時間中は向井さんをはじめとするゲストの皆さん、そしてファンの皆さんがそれぞれ交流。距離感が近くていい感じです。

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 後半はライブステージ。べスラガの皆さんによる特別パフォーマンスに、メタルラックのショートコント。そして禁断少女を加えたタレントさんたちによるフリートーク。とくにべスラガのパフォーマンスが熱い。エネルギッシュな女子5人のパフォーマンスに、ラグビーファンも私も大盛り上がりでした。

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 そしてメタルラックさんのショートコントで笑いを誘い、トークセッションではさすがだなぁ、と感服する楽しい空間の演出。記念すべき日の夜に本当にふさわしい。

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 最後には来場いただいたファンの方からもコメント。こうした場をつくっていくことの大切さをお話しいただけました。

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 そしてのそのあとにちょっとだけ、秘密基地のオーナーの岡さんとあいさつさせてもらいました。

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 挨拶の前に岡さんとも相談し、本気で秘密基地の場を通じてスポーツを、ラグビーを応援していこう、ということにしていました。スポーツは老若男女問わず、ひとがつながるきっかけになり得ます。秘密基地の「集めて・混ぜて・繋げて・尖らせる」という動きを、スポーツを通じて行うことでもっと大きく強いものにもできる。だから、「秘密基地はラグビー応援拠点、スポーツ応援拠点になります!」と宣言。4月のワールド女子セブンズラグビーも、スーパーラグビーも応援していこう、2019年に向けて盛り上げていこう、とファンの方がと約束。秘密基地からラグビーを始めとするスポーツコミュニティが動きだしちゃいました。秘密基地に新しい色がまた加わりましたね。

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農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」金沢レポート ~中立的交渉力あるファシリテーターが必要に~

 2/10は金沢にて5か所目の農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」を開催して参りました。今回もパネルディスカッションのファシリテーターとして参加。研究ネットワークをつくっていくためのコミュニケーションの重要性、とくに中立的な交渉力が必要になるというメッセージが発信されました。またこの中立的交渉力を発揮するために、ファシリテーターの必要性も改めて認められた場となりました。

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 今回は具体的な事例として、農研機構 食農ビジネス推進センター 坂井 真 センター長と株式会社ぶった農産 佛田 利弘 代表取締役社長が登壇。それぞれ研究者の立場から、生産者の立場から研究ネットワークの事例を紹介。研究者や生産者、その他自治体や農協、企業などの立場をこえたつながりをつくった結果が成果に結びついていることが共通した特徴です。

 そしてパネルディスカッション。一番の議題は、どうやって研究者や生産者が立場を超えてつながるか。会場からも昨今話題となっている農協との関係性をどうやって扱っているかなど、踏み込んだ質問も飛び出してきました。他にも大学が相手にしてくれないのではないか、共同研究をしても知的財産を研究者が囲ってしまうのではないか、生産者が研究者にいいように使われてしまうのではないか、といった生産者サイドからの不安も言葉となって場に現れ、表面的ではない議論をパネルディスカッションの中で行うことができたと感じています。こうした踏み込んだ話をしているほうが、ファシリテーターを務めた私としても楽しいのですよね。

 さて、議論のほうを振り返ると、一言でいえば“コミュニケーションの質”が重要であるというところにまとまります。ただ、このコミュニケーションという言葉だけで簡単に片づけられるほどの代物ではありませんでした。以下パネルディスカッションの議論からのポイントを踏まえて。

 まずコミュニケーションの中でも“交渉力”が必要不可欠となります。交渉力をつけるには、それぞれの状況・背景を理解しなければいけません。大学や企業や自治体、農協、生産者などがそれぞれどのような思惑や仕組みで動いているのか、どこで繋がり得るのか、どういったものをリターンとして求めているのかを理解してバランスをとっていくことが必要なのです。Win-Winをつくるのは最低限なのですよね。ゆえに“中立性”も必要となってきます。

 ただ、こうした中立的交渉力をもったコミュニケーションが出来る人、となると限られます。広い知識とコミュニケーションに関わる専門性をもっていることが求められます。ゆえにファシリテーターと呼ばれる存在が必要不可欠となります。

 しかし、現実問題としてファシリテーターが中立的であるためにはいくつかの問題があります。まずまだファシリテーションの必要性が認知されていないこと、加えてお金を払う・報酬を払うという感覚が社会全体に乏しいことがあげられます。このためファシリテーターとして活躍する人も限られており、さらには会議の進行役というレベルを超えて研究ネットワークを動かすという次元で動ける人は非常に少なくなります。こうした状況に対しては、国の支援なども必要ではないか、という議論に発展しました。

 ちなみに私はファシリテーターとして活動するにあたり、まさにこの中立性を保つために資本面から完全に独立し、自分の会社として自律採算で動いています。そうでなければ中立性が失われ、交渉力あるコミュニケーションが取れなくなる恐れがるからです。

 こうしたファシリテーターの育成と活躍の場の提供、活躍するための環境整備は今後、研究ネットワークや産学官連携プロジェクト、組織・地域を超えた連動プロジェクトを行っていく上では不可欠なのかもしれません。もちろん、ファシリテーターいればそれだけで中立的交渉力を持ったコミュニケーションはOKということはなく、具体的な成果目標・事例や研究者・生産者などの当事者同士の繋がり・信頼関係、情報共有の仕組みなども必要になります。

 こうした研究ネットワークを創る・活かすためのコミュニケーション学や、ファシリテーションの在り方、さらには技術活用といったところまで統合した教育施策は創ってもいいかもしれませんね。すでにMOT(技術経営、Management Of Technology)という言葉はあるので、これを発展させてMOA(農業経営 Management Of Agricalture)なんていうのもあってもいいかもしれません。

 今回も自由闊達な議論ができ、ファシリテーターとしても楽しい場を創ることができました。残るは大阪(2/22)、福岡(3/1)、松山(3/10)の3会場。楽しんで回ってきたいと思います。

 

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戦略的技術開発体制推進セミナー 開催のお知らせ | 公益財団法人 未来工学研究所

 

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