アウトカム?アウトプット?カタカナで表す”観点”の意味を整理してみた
カタカナの意味を整理してみようシリーズ 第4弾。今回はアウトカムやアウトプットなど観点を表す言葉を整理してみたいと思います。いつものごとく、事業脚本家としての経験を踏まえ、今回も愛読書「キングダム」を例えに使って。なお、毎度のことながら一般的な定義とは異なるので、悪しからず。
まずは前提整理。今回はカタカナで表す観点についての整理を行っていきます。観点は視座という言葉でも置き換えられます。何を意識してものごとを捉えるか、というところの違いは、観点の違いということになります。また、観点なので切り替えることができます。ひとりで複数の観点を持つこともできます。そして新たな観点は教育を受けたり、経験を積むことで得ることもできます。
では、今回もカタカナで表される取組・成果がどんなものかイメージしやすいように、漫画「キングダム」を例にとって解説していきます。
〇アウトカム : 社会的影響
社会に対する影響を意識する観点です。社会が抱えてる課題をどう解決できるのか、社会にどのような価値をもたらすのか、といったことを考えます。短期的だけでなく、将来にわたっての超長期的な観点でも考えることが必要になります。
キングダムでは秦国の王・政や、丞相の昌平君が常に持ってる視点でしょう。中華統一を図るために、いまの一手がどのような影響を民に周辺諸国に影響を与えるかを考え、動く姿に重なります。
〇アウトプット : 成果
目的の達成度合い、直接的な成果を意識する観点です。成果を上げた後の影響は入りません。事業としての成果であれば、市場シェア、認知度、売上、利益などが挙げられます。投入した資本(お金や時間など)に対して、得られるものを評価する考え方です。比較的短期的な観点で考えることになります。
キングダムでは一つ一つの戦での勝敗が成果にあたります。故に主人公・信をはじめ、戦場に出る「勝利」を義務付けられた将たちの姿、武功を挙げていく姿が当てはまります。
〇アクティビティ : 活動
実際にやっている活動自体を意識する観点です。成果をあげることよりも、与えられたことを着実に進めることが重要になります。予定通りであること、問題が起きてないことを評価する考え方です。目の前の事象に焦点を当てる考え方です。
キングダムでは初期の主人公・信のイメージが当てはまります。目の前の相手をとにかく倒せばいい、と考え突き進んでいきます。他にも一般兵にも多い観点かもしれません。目の前の戦を生き延びる、という観点ならなとさらです。
〇モデリング : 企画構想
企画や構想を整理し、書き上げることを意識する観点です。実際に動くかどうかではなく、いかに論理的にまとめられるかを重視します。人を納得させる、説得する、理解を得ることを大事にする考え方です。内部管理を大事にする観点と言ってもいいかもしれません。
キングダムでは文官たちの仕事が当てはまりますね。または軍師学校で学び、実践経験がなかった蒙毅などもイメージとしては重なります。
〇スタディ : 調査探求
物事の原因を探ったり、研究したり、考えたりすることを意識する観点です。理解をすること、整理をすること、解明することを重視します。研究肌です。自分の関心ごとに焦点を絞って自身の知恵・技能を磨く観点ともいえます。
キングダムでは趙国三大天 龐煖の姿が重なります。龐煖は将軍というよりも求道者であり、武神として生きることがすべて、強さを磨くことがすべてです。だからこそ、独特の世界観をもたらしています。
このように整理すると、アウトカム:社会的影響>アウトプット:成果>アクティビティ:活動>モデリング:企画構想>スタディ:調査探求という形で、観点が絞り込まれています。そして当然、同じ物事でも観点が異なると、見えるものが変わってきます。
例えば、キングダムでは同じ一つの戦場でも、アウトカム:社会的影響では中華統一に向けた一手ですが、将軍たちにとっては自分たちのアウトプット:成果のために全力を尽くす機会、そして末端の兵隊たちにとっては戦場を生きるための知恵を得るスタディ:調査探求の機会ということになります。
ものごとを考えていくためには、状況に応じてどの観点を入れるか、どう組み合わせるかを知っていくことも必要なのですね。