事業脚本家という生き方。

フィールド・フロー代表取締役 渋谷 健のブログ。

楽しくなければ仕事じゃない ~ブラックから抜け出す処方箋~

 仕事を進めていくうえで効率化の議論は避けては通れません。しかし、同時に事業脚本家として生きる私としては、仕事も楽しいもの、驚きと喜びと安心に満たされているもの、幸せなものであってほしいと考えています。ゆえに効率的であることと、楽しいものであることの2軸があってこそ、いい仕事なのではないかなと考えています。そして楽しさをちゃんと追及できれば、ブラックなお仕事も変えていくことができると考えています。バリューチェーンファイナンスの江上さんに触発されて、普段講演とかで話している内容を書き起こしてみました。

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 “効率的であるか”どうかという軸と、“楽しいか”どうかという軸を組み合わせると、4つの分類が見えてきます。まず“効率的であるか”だけを追求し“楽しいか”どうかを軽視すると、いわゆる合理主義の仕事になります。とにかく時間短縮、コスト削減、売上・収益重視。いかに小さい投資・費用・労力で、最大限の利益・効果・成果を得られるかが重視されます。しかも物理的に、わかりやすく。世の中の多くの組織がこの合理主義になっているのが、資本主義社会を積み重ねてきた現代の実情だと捉えています。

 そしてこの合理主義には大きな欠陥があります。効率的であることを求めて築かれていますが、あくまでもある瞬間の社会環境・事業環境において効率的であるにすぎません。社会環境・事業環境に変化が起きれば、これまで効率的であったものが非効率になります。するとどうなるかというと、効率性は当然下がります。残念ながら、効率的でもなく、楽しくもない仕事が仕上がります。いわゆるブラックな仕事になっていきます。なお、そもそも“効率的であるか”を追求したにもかかわらず、効率的にできない残念すぎるブラックなお仕事も世の中には存在しています。

 さて、ここで面白いのが効率性を追求し、合理主義からブラックに変わってくる、もしくはブラックでとどまっている仕事はその後何をするかというと、やっぱり“効率的であるか”を追求します。つまり良くて合理主義になる、悪ければブラックをさらに助長することになるわけです。

 なぜこのようなことが起きるのでしょうか。一言でいえば“楽しいか”どうかを全く考えていない、仕事を通じた幸せや精神的充足をまったく考慮していないことが大きな要因だと捉えています。

 ではどうしたら合理主義とブラックで行き来する世界から抜け出すことができるのでしょうか。まず、“効率的であるか”だけを追求するという呪縛をまず外します。そして“楽しいか”、つまり仕事を通じた幸せや精神的充足が得られるかどうかを真剣に考え、実践していきます。これは経営者・リーダーの判断・意思表明を明確にし、行動が伴えばできます。つまり、経営者・リーダーの責任において行うべきことです。すると、効率的ではないかもしれませんが、楽しいと感じれる状態は創ることができます。生きがい・やりがいを感じれる、情熱を持って打ち込める、想い重視の仕事が出来上がっていきます。

 ただし、想い重視の仕事にも問題があります。小ぶりな仕事になりやすいことと、お金が続かない、事業として継続できないという壁にぶつかることが多いのです。結果、あきらめて続けられなくなってしまうことも少なくありません。なぜかというと、“楽しいか”どうかを追求するあまりに、今度は“効率的であるか”を軽視しすぎてしまうからです。

 そこで最後の処方箋は、想い重視の仕事を効率的にしていく、というものです。想いがあるからこそ、武器として効率化を実現する手段を提供していく。すでに合理主義で培った知見がたくさん世の中にあるので、さほど難しくないでしょう。すると、楽しくもあり、かつ効率性も高く、“なんでもできる”・”どんどんできる”という最高に力強い状態、最高の仕事ができるようになります。スポーツでいうところのゾーンと呼ばれる状態であったり、心理学でいうフローという状態が仕事の中で実現されていくというイメージですね。

 というわけで、まずは“楽しいか”という観点を追求し、そのうえで“効率的であるか”という観点を加えていくことが、仕事をより良いものに、仕事だけでなくいろんな取り組みを価値ある力強いものに変えることができるのです。そして一番重要なのは“楽しいか”という観点を重視する姿勢を経営者・リーダーが示せるか。いわば経営者・リーダーの資質がもっとも問われているといってもいいかもしれません。

 

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