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事業脚本家という生き方。

フィールド・フロー代表取締役 渋谷 健のブログ。

農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」福岡レポート ~一次産業経営者育成プログラムの実現を~

 3/1は農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」の第7弾。ようやく慣れ親しんだ福岡での開催となりました。前回の大阪で苦労させらてた花粉症をなんとか抑え込み、大阪会場に引き続き“人”の重要性を掘り下げた議論となり、とくに現代の一次産業経営者の育成プログラムの必要性を議論する場となりました。

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 今回は農研機構の服部育男先生と、株式会社ぶった農産の代表取締役 佛田利弘氏に事例紹介をいただきました。お二人に共通していたことは、人とのつながりを大事にしているということ。しかも真摯で対等な立場から信頼関係を丁寧に創り、その結果が事業成果に結びついているということでした。

 お二人の事例を踏まえてパネルディスカッションへ。まずは冒頭でてきたことが、ネットワークと集落は似ている、という議論。集落には共通した目的(生活する、衣食住を保つなど)があり、そのために互いに協調し、必要に応じて迅速に対応し、かつ継続させていくための機能が備わっていました。ネットワークに求められることも同じです。つまり、地域に根差したものである集落の考え方を、より機能的にとらえ、地域性を排除して共通のテーマでくくったものがネットワークと言えそうです。

 そしてこのネットワークを効果的に活用していくためには、プロジェクトマネジメントの発想が必要だという議論にもなりました。多くのメーカーでは当たり前にやっているプロジェクト管理ですが、農林水産業の現場ではまだまだ当たり前にはなっていません。ですから、こうしたプロジェクトマネジメントのノウハウを持ち込むだけでも、ネットワークは成果につながる資源として活用することができそうです。

 しかしながら、結局のところこうしたネットワークを動かしていくのは人であり、人の教育、人と人の関係性は無視できません。とくに教育という側面では、農林水産業の専門知識に加えて、経営や技術など多様な分野の議論が理解できる程度の知識は持っていることが今後求められて生きます。しかし、そんなひとは簡単には現れません。ではどうするか。チームでやるしかないのです。それぞれの分野に明るい人たちがチームを組んで、互いにフォローし合う・教え合うことができれば、多少時間はかかるかもしれませんが、必要な機能を果たし、ゆくゆくは必要な人を育てることができます。当然、この間チームワークが求められます。ゆえにお互いに敬意をもって繋がれる信頼関係を創ることは不可欠となっていきます。

 またネットワークは必ずしも先進的な取り組みだけに活用するものでもありません。出る杭を伸ばして成果を出すことももちろんできますが、そうした成果を一般化・単純化して広めていくこともネットワークが担える役割です。このあたりを一貫して行えるようにしていくことが今後の課題でしょう。

 全体として議論は多岐にわたりましたが、総括してみると、“一次産業経営者の育成”がプログラム化できていないことが大きな課題と言えます。ネットワークは一次産業経営者が扱う資源のひとつに過ぎません。より高度な教育プログラム、MOT(技術経営)のような一次産業の経営者向け教育プログラムをつくっていくことは、今後至上命題なのかもしれません。