事業脚本家という生き方。

フィールド・フロー代表取締役 渋谷 健のブログ。

リーダーシップ?フォロワーシップ?ファシリテーション?カタカナ能力・スキルを整理してみよう。

 カタカナを整理してみようシリーズ第2弾。今度はファシリテーションとか、リーダーシップとか、フォロワーシップとか。カタカナで表現される、組織内で必要となってきている能力・スキルについて、事業脚本家としての経験を踏まえ、今回も愛読書「キングダム」を例えに使って整理してみたいと思います。一般的な定義とは異なるので、悪しからず。

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 カタカナの能力について、まずは前提を整理してみましょう。ファシリテーションやリーダーシップ、フォロワーシップなどはあくまでも能力です。そしていずれも組織内、ひととひとの関係性の中で必要な能力です。役割ではありません。したがって組織に紐づくものではなく、個人に紐づくものです。複数持つことができますので、当然、役割と組み合わせていくこともできます。また、育成することも可能です。次になぜこのようなカタカナの能力が出てきたかというと、やっぱり輸入したから。そしてそのときに日本語に翻訳しないまま普及してしまったからなのでしょう。

 ではこれらのカタカナの能力はどんなものでしょう。どんなシーンで役に立つもので、どういった効果あがるものでしょうか。そこで今回も、いろんな人間模様も描かれる漫画「キングダム」を例にとって整理していきたいと思います。突っ込みどころ満載、ご容赦を。


〇リーダーシップ : 影響力
 自らの意思(考え方・想いを明確に示し、ひとに影響を与え、動かす能力です。自分がどうしたいか、どんな将来を実現したいか、ということを明確に示す。複数ある選択肢の中から決断したり、また、不確実な状態でも踏み出していく。そして周囲の共感を生み出し、動き出す・動いてもらうことを実際にやる力です。
 キングダムでは秦の国王・政、伝説の六大将軍・王毅、そして主人公・信も、このリーダーシップ:影響力を発揮します。一番、私が好きなシーンは秦国が存亡の危機に瀕した時に、兵隊ではない女性・子ども・老人を演説一つで奮い立たせた、蕞(さい)でのワンシーンですね。


フォロワーシップ : 協調力
 リーダーシップ:影響力を発揮する・しようとする人に対して、その意思を組んで信じて動く、協力する、同調する能力です。目指す将来像に共感し、その背中を応援し、信じて一緒に道に踏み出しいく・全力で進んでいくための力です。リーダーシップ:影響力を発揮する・しようとする人に対して、活力・勇気を与える力でもあります。
 キングダムでは政を支える昌文君を始めとする家臣たち、王毅を支える隊長たち、信の仲間たちですね。“将軍が戦闘を行くとき、兵は鬼神と化す”という状態がまさにそれです。


〇マネジメント : 対処力
 物事が進んでくなかで変わっていく状況を適切に把握・分析し、問題を発見し、冷静に対処していくための能力です。リーダーシップ:影響力を発揮する・しようとする人や、フォロワーシップ:協調力を発揮する・しようとする人たちが安心して動いていくための環境を整える力でもあります。
 キングダムでいうと秦国の王・政を支えるため家臣たちをまとめ、信に頭を下げ、敵対勢力だった李氏の協力を仰ぎ、ときに戦場にも出る昌文君のイメージですね。昌平君や河了貂などの軍師もイメージとして当てはまります。


〇オペレーション : 遂行力
 決めたこと・決められたことを、決められた通りに忠実にやり切る能力です。仲間の目となり、足となり、手となって代わりに動くための力です。
 キングダムでいうところの兵隊たちです。羌瘣(きょうかい)が蚩尤(しゆう)として暗殺の任を受けて動くときなどもこの能力が発揮されるところですね。


コーチング : 促進力
 決めたこと・決められたことにむけて行動を促進するために必要な知恵を与えて、やる気を起こさせて、学びや気づきを得ていいけるようの支援する能力です。人を育てる能力でもあります。
 キングダムでは、主人公の信が出会う人たちがことごとく見せつけてくれています。将軍王毅を始め、敵対した輪虎、ライバルの蒙恬(もうてん)や王賁(おうはん)たちが信に送っている言葉がまさにコーチング:促進力となっていますね。


ファシリテーション : 調律力
 多種多様な考え方があり、立場がある中で、それぞれの力を最大限に発揮できる関係性を創っていく能力です。お互いに響き合う関係性を、楽器を調律するかのようにつくる力です。
 キングダムでは圧倒的にこの能力を発揮したのは、李牧でしょう。合従軍を立ち上げ、秦国に攻め入るにあたり、対立してきた列国を協調関係に持ち込んだ手腕は見事です。

 

 ちなみにこれはあくまでも能力です。似たような言葉で役割を表すことがありますが、それは上記のような能力を発揮することへの期待の表れということですね。
 

プロデューサー?ディレクター?それってなに? カタカナ役割名を整理してみよう。

 最近、企業でも行政でも仕事をしているとカタカナの役割がついている方が増えてきました。プロデューサー、コーディネーター、ディレクターなどなど。ただどれもいまいち違いが分かりにくい。ということで、事業脚本家として現場でやってきた経験を踏まえ、漫画「キングダム」で学んだ私の浅い戦国の知識を組み合わせ、カタカナの役割の意味を整理してみます。

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 カタカナの役割の意味を整理するにあたって、いくつか前提を考えてみましょう。まず、基本的には達成すべき目的を共有している組織上の役割を、カタカナを使って表現しているにすぎません。ただし、従来の日本的な役職(部長、課長など)では表現しきれないため、英語を基にしたカタカナが役割を指す名詞として使われています。これは海外のビジネスモデルや、その中で使われてる役割の名称を参考にしてきた結果なのでしょう。言い換えれば、ちゃんと翻訳作業をしていなかっただけ、ということかもしれません。

 では、意味を整理するために、海外のビジネスモデルので使われてきた役割の名称が、何を参考にしていたのかを捉えておきましょう。それは軍隊の仕組みです。軍隊は古くから組織的に行動することが求められ、組織論に限らずビジネスの現場ではその知見が応用されています。では、どこの軍隊か。これを突き詰めていくと、ローマ帝国とか三国志とか、あのあたりの時代になるのでしょう。

 そんな折、たまたま目についたのが愛読書である漫画「キングダム」。その面白さを伝えるときりがないのですが、舞台となっている中国・春秋戦国時代の秦の体制は参考になりそうです。というわけで、今回はビジネスの現場で使われているカタカナの役割の意味を、漫画「キングダム」で学んだ当時の体制に照らし合わしながら、整理していきたいと思います。突っ込みどころは満載なのは、笑ってやってくださいませ。


〇オーガナイザー : 最高責任者
 組織全体の最高責任者です。組織が目指す将来像を示し、ひとを惹きつけ、大局を動かすことが仕事です。キングダムでは秦の国王である政であり、呂不韋がなりたかったものですね。

 

〇プロデューサー : 総指揮者
 最高責任者が目指す将来像に向けて、広く深い知見から、長期的な視点と短期的な視点、組織内外への意識などを織り交ぜて、具体的に戦略を描く総指揮をとる役割です。キングダムでは軍総司令の昌平君や丞相の昌文君が担う役割です。

 

〇ディレクター : 現場責任者
 総指揮者の戦略に基づいて、実際に具体的な活動を現場で取り仕切る際の現場責任者としての役割です。現場で起きる状況の変化に自らの判断で局面に対応していきます。このための裁量権も与えられています。キングダムでいうと、王毅王翦、桓騎などの将軍が該当します。千人将からは局面を変える力をもつ、ということなので成長した信はこのあたりですね。

 

〇コーディネーター : 現場調整役
 現場責任者が役割を全うできるよう、変化し続ける現場環境の中で必要となる情報を集め、状況を整理し、必要な策を練る役割です。キングダムでいうと、信の部隊の軍師である河了貂ですね。

 

〇プレイヤー(アナリスト/エンジニア/リサーチャーなど) : 実務担当者
 実務責任者の手足となって、現場での実務にあたる担当者です。それぞれの専門性や適性を活かして活躍します。個の力で局面を打開する力が求められます。千人将になる前の信や、蚩尤として動く羌瘣はここですね。
 ちなみにアナリストは分析官でものごとに対して考察を重ねる役割、エンジニアは技術者で何かものを創ったり直したりする役割、リサーチャーは調査員でものごと調べる役割といった感じです。


ちなみにこれらに、"チーフ"とつけると、例えば同じディレクターの中でもちょっと上位の位置づけで、管理責任がある立場ということになります。逆に“サブ”とついていると、補佐的な立場ということになります。

 

ラグビー×秘密基地 2019年に向けたスポーツコミュニティが始まります。

 2/18、ミクニワールドスタジアム北九州こけら落としイベント「ラグビードリームマッチ サンウルブズ VS トップリーグオールスターズ」を記念して、秘密基地にてラグビーファンミーティングを開催しました。当日は元日本代表監督の向井昭吾さんにもお越しいただき、全国からこの日の試合を見に来たコアなラグビーファンを迎え、トークショーあり、ライブステージあり、秘密基地らしい交流ありの楽しい時間を創ることがでいました。秘密基地を起点に、2019のラグビーワールドカップ、そして2020年の東京オリンピックに向けて、スポーツを通じた地方創生を動かしていきます。

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 2/18は北九州の新スタジアム「ミクニワールドスタジアム北九州」のこけら落とし
フィールドと観客席が近く、海に隣接したこのスタジアムは北九州地域のスポーツの象徴。そして日本最高峰のラグビーゲームが最初のゲームに選ばれるなんて、粋じゃないですか。

 ラグビーは1980年代にドラマ「スクールウォーズ」の影響もあって大ブームになり、その後はだんだんと熱が下がってきていました。しかし2015年のラグビーワールドカップでの日本代表の奮闘、南アフリカへの大金星、五郎丸選手のブレイクをきっかけに熱が再燃。2019年にはラグビーワールドカップ日本大会の開催も決まり、今まさに注目すべきスポーツだといえます。

 加えて、ラグビーは日本でこそ、野球やサッカーに比べてテレビ中継や観客動員数は少ないですが、世界的に見れば大人気スポーツ。スポーツの世界三大国際大会も、オリンピック、サッカーワールドカップラグビーワールドカップの3つとなっています。

 さらに地方創生という観点で見ると、オリンピックよりもより重要なのはラグビーワールドカップです。理由は単純で、オリンピックは都市開催であり、2020年はなんだかんだ東京に一極集中します。これに対してラグビーワールドカップは国単位での開催。2019年も全国各地域にまたがって開催され、地方においては大きな大きな世界に対するPRのチャンスなのです。そして2019年に十分にPRができているならば、2020年のオリンピックで東京に集中する外国人観光客を、例えば観戦終了後のプラスアルファの旅行先として地方に誘致していくことが十分に望めます。

 このような要素から、ラグビーを盛り上げていく、ということは単にラグビーファンを増やすという意味以上に、非常に大きな意味があることなのです。加えて北九州は九州ラグビーの聖地新日鐵住金八幡ラグビー部の前身である、製鉄ラガークラブが創設された地域でもあります。また、日本で初めて4月に開催される7人制女子ラグビーの世界大会 ワールド女子セブンズラグビーの開催地も北九州。2019年のラグビーワールドカップで強豪ウェールズのキャンプ地になっているのも北九州。つまり何が言いたいかというと、北九州の新スタジアムのこけら落としイベントがラグビーであることは、見た目以上に価値のあるものだったのです。

 そして2/18のラグビードリームマッチ サンウルブズ VS トップリーグオールスターズ」は間違いなく国内最高峰のラグビーゲーム。当然ながら全国各地からコアなラグビーファンが集まってきています。こうした方々に楽しんでもらい、つながり、新しい可能性をつくっていくからこそ、本当に価値あるイベントとなります。だからこそ、細かいこと抜きにまずはしっかりと歓迎する雰囲気をつくる・楽しんでいってもらうことが必要。ということで、秘密基地にてファンミーティングを開催することになったわけです。

 こんな想いに応えてくれたのが、元日本代表監督の向井昭吾さんやキューデンヴォルティクスの選手たちを始め、MCを務めてくれたRKBの植村友紀さん、スポーツ応援ユニット「ベスラガ」(Baseball Girls & 桜Ru.girl)、禁断少女、メタルラックといったタレントの方々。

 ゲーム中はキューデンヴォルティクスの選手による解説付きでドリームマッチ観戦。そしてちょっとしたトークセッション。禁断少女の皆さんがリフトされてる絵とかだいぶ面白い。

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 夕方からの第二部では、ファンの方々が続々と集まり、植村さんのMCで、向井さんのトークショーからスタート。ファンの皆さんは東京、横浜、埼玉、大阪、宮崎などなど全国各地からいらっしゃってくださいました、

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 向井さんのトークで印象的だったのは、「心技体」の必要性の話。そして特に心を鍛えることが必要であり、そのうえで体を創り、技を磨くことだということ。また、個の力でできることは限られるが、チームになればできることが変わる、ということ。秘密基地で大切にしていること、創生塾で伝えていること。まちはチームだでやろうとしていることと全く一緒。ラグビーの精神はまちづくり・地方創生の現場に活かすべき点が多いと感じました。

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 休憩時間中は向井さんをはじめとするゲストの皆さん、そしてファンの皆さんがそれぞれ交流。距離感が近くていい感じです。

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 後半はライブステージ。べスラガの皆さんによる特別パフォーマンスに、メタルラックのショートコント。そして禁断少女を加えたタレントさんたちによるフリートーク。とくにべスラガのパフォーマンスが熱い。エネルギッシュな女子5人のパフォーマンスに、ラグビーファンも私も大盛り上がりでした。

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 そしてメタルラックさんのショートコントで笑いを誘い、トークセッションではさすがだなぁ、と感服する楽しい空間の演出。記念すべき日の夜に本当にふさわしい。

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 最後には来場いただいたファンの方からもコメント。こうした場をつくっていくことの大切さをお話しいただけました。

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 そしてのそのあとにちょっとだけ、秘密基地のオーナーの岡さんとあいさつさせてもらいました。

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 挨拶の前に岡さんとも相談し、本気で秘密基地の場を通じてスポーツを、ラグビーを応援していこう、ということにしていました。スポーツは老若男女問わず、ひとがつながるきっかけになり得ます。秘密基地の「集めて・混ぜて・繋げて・尖らせる」という動きを、スポーツを通じて行うことでもっと大きく強いものにもできる。だから、「秘密基地はラグビー応援拠点、スポーツ応援拠点になります!」と宣言。4月のワールド女子セブンズラグビーも、スーパーラグビーも応援していこう、2019年に向けて盛り上げていこう、とファンの方がと約束。秘密基地からラグビーを始めとするスポーツコミュニティが動きだしちゃいました。秘密基地に新しい色がまた加わりましたね。

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農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」金沢レポート ~中立的交渉力あるファシリテーターが必要に~

 2/10は金沢にて5か所目の農林水産省事業「戦略的技術開発体制推進セミナー」を開催して参りました。今回もパネルディスカッションのファシリテーターとして参加。研究ネットワークをつくっていくためのコミュニケーションの重要性、とくに中立的な交渉力が必要になるというメッセージが発信されました。またこの中立的交渉力を発揮するために、ファシリテーターの必要性も改めて認められた場となりました。

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 今回は具体的な事例として、農研機構 食農ビジネス推進センター 坂井 真 センター長と株式会社ぶった農産 佛田 利弘 代表取締役社長が登壇。それぞれ研究者の立場から、生産者の立場から研究ネットワークの事例を紹介。研究者や生産者、その他自治体や農協、企業などの立場をこえたつながりをつくった結果が成果に結びついていることが共通した特徴です。

 そしてパネルディスカッション。一番の議題は、どうやって研究者や生産者が立場を超えてつながるか。会場からも昨今話題となっている農協との関係性をどうやって扱っているかなど、踏み込んだ質問も飛び出してきました。他にも大学が相手にしてくれないのではないか、共同研究をしても知的財産を研究者が囲ってしまうのではないか、生産者が研究者にいいように使われてしまうのではないか、といった生産者サイドからの不安も言葉となって場に現れ、表面的ではない議論をパネルディスカッションの中で行うことができたと感じています。こうした踏み込んだ話をしているほうが、ファシリテーターを務めた私としても楽しいのですよね。

 さて、議論のほうを振り返ると、一言でいえば“コミュニケーションの質”が重要であるというところにまとまります。ただ、このコミュニケーションという言葉だけで簡単に片づけられるほどの代物ではありませんでした。以下パネルディスカッションの議論からのポイントを踏まえて。

 まずコミュニケーションの中でも“交渉力”が必要不可欠となります。交渉力をつけるには、それぞれの状況・背景を理解しなければいけません。大学や企業や自治体、農協、生産者などがそれぞれどのような思惑や仕組みで動いているのか、どこで繋がり得るのか、どういったものをリターンとして求めているのかを理解してバランスをとっていくことが必要なのです。Win-Winをつくるのは最低限なのですよね。ゆえに“中立性”も必要となってきます。

 ただ、こうした中立的交渉力をもったコミュニケーションが出来る人、となると限られます。広い知識とコミュニケーションに関わる専門性をもっていることが求められます。ゆえにファシリテーターと呼ばれる存在が必要不可欠となります。

 しかし、現実問題としてファシリテーターが中立的であるためにはいくつかの問題があります。まずまだファシリテーションの必要性が認知されていないこと、加えてお金を払う・報酬を払うという感覚が社会全体に乏しいことがあげられます。このためファシリテーターとして活躍する人も限られており、さらには会議の進行役というレベルを超えて研究ネットワークを動かすという次元で動ける人は非常に少なくなります。こうした状況に対しては、国の支援なども必要ではないか、という議論に発展しました。

 ちなみに私はファシリテーターとして活動するにあたり、まさにこの中立性を保つために資本面から完全に独立し、自分の会社として自律採算で動いています。そうでなければ中立性が失われ、交渉力あるコミュニケーションが取れなくなる恐れがるからです。

 こうしたファシリテーターの育成と活躍の場の提供、活躍するための環境整備は今後、研究ネットワークや産学官連携プロジェクト、組織・地域を超えた連動プロジェクトを行っていく上では不可欠なのかもしれません。もちろん、ファシリテーターいればそれだけで中立的交渉力を持ったコミュニケーションはOKということはなく、具体的な成果目標・事例や研究者・生産者などの当事者同士の繋がり・信頼関係、情報共有の仕組みなども必要になります。

 こうした研究ネットワークを創る・活かすためのコミュニケーション学や、ファシリテーションの在り方、さらには技術活用といったところまで統合した教育施策は創ってもいいかもしれませんね。すでにMOT(技術経営、Management Of Technology)という言葉はあるので、これを発展させてMOA(農業経営 Management Of Agricalture)なんていうのもあってもいいかもしれません。

 今回も自由闊達な議論ができ、ファシリテーターとしても楽しい場を創ることができました。残るは大阪(2/22)、福岡(3/1)、松山(3/10)の3会場。楽しんで回ってきたいと思います。

 

〇申し込みはこちら(無料)  

戦略的技術開発体制推進セミナー 開催のお知らせ | 公益財団法人 未来工学研究所

 

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祝・初開催 出張秘密基地「鳥栖創生塾」 ~”ひと”と向き合うことが全ての源泉です~

 2/9に鳥栖商店街にコワーキングスペース秘密基地が出張してきました。秘密基地が提供している創生塾の特別セッションとして、秘密基地代表の岡 秀樹さんと私の2人で登壇。鳥栖市の駅前商店街の皆さんを中心に当日は30名ほどが出席。ライブハウスを会場に、本当に秘密基地みたいなゆるいけれども、深い対話が生まれる場を一緒に作ることができました。次回は3月に第2回を開催予定です。
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 今回お邪魔した会場は鳥栖駅前にあるVapeur(バプール)。主催は鳥栖市商業活性化推進協議会で、「将来に対するまちの生き残り戦略とは? ~今後、淘汰されてゆく社会に対しての人とまちの在り方とは~」と題して開催されました。仕掛人鳥栖本通筋商店街振興組合 副理事長で、鳥栖市商店街連合会の副会長でもあり、鳥栖の美容室currentのオーナーでもある松枝善春さん。松枝さんが秘密基地に来て、体験してくれたことがきっかけで実現に至りました。こちらが松枝さん。
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鳥栖はあまり困っていないまちかもしれない。でもそれは、実はあきらめと妥協の産物になっているのではないか。やるべきことをやれていないのではないか。」冒頭の松枝さんのあいさつは、本当に鳥栖のまちを想う力強いものでした、だからこそ、商店街の方々が早めに仕事を切り上げ、お店をしめて、この場に集まってくれたのですね。
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 さて、本編の内容はというと、ざっとこのような内容。基本的には岡さんと私で掛け合いながら、参加された皆さんとも自由に対話。固い雰囲気ではどうしても盛り上がらないので、料理やお酒も出してもらって、リラックスした雰囲気で進めていきました。
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①秘密基地のやってきたこと
 ①-1: 2014年1月の開業からの3年間にあった出来事
  ・2014年夏ごろに創生塾や北九州フードフェスティバルなど始まる
  ・2015年にはキタキュウウーマンほかラジオなどメディア関連も始動
  ・2016年に一般社団法人まちはチームを設立
 ①-2: 2016年の1年間の主な実績
  ・地方創生や国家戦略特区のプロジェクトなどを推進
  ・東京のDBICや省庁との連携事業も推進
  ・石井国交省大臣も訪問し、注目事例に
 ①-3: 秘密基地から羽ばたいた人たちの紹介
  ・保育士から書道家に転身 詩太(うーた)さん
  ・イベント・ディレクターとして活躍 西口 久美子さん
  ・秘密基地の兄弟分 コワーキングスペースAGITEオーナー 時松 純さん

②秘密基地を通じて得た学び
 ②-1: 競争する社会から創発する社会へ
  ・資本主義の限界、貢献し・共有し・幸せになる世界への転換期
  ・全員が平均点をとるのではなく、それぞれの強みを活かしたチームが必要
  ・ひとの可能性に焦点をあてる
 ②-2: 必要なことは「世界に必要なこと」をすること
  ・「世界に必要なこと」を追求し、考えつづけていくことが大事
  ・一人一人が心から夢中になれることを社会の価値ある役割に
  ・純粋なひととひとの信頼関係が根底に必要となる
 ②-3: ひととひとの信頼関係が可能性を具現化する
  ・「場」「力」「活動」「資本」「価値」をつくる5つの機能を持つ
  ・「しらす」の在り方と、「混ぜる」「見出す」「進める」「尖らす」やり方を知る
  ・何よりこの世界に存在する意味を根源的に見つめることが必要となる

③これからやろうとしていること
 ③-1: 創生塾を戦略的に位置づけた事業創出
  ・秘密基地の場を活かした事業につながるコミュニティ形成推進
  ・創生塾を通じた事業創出に向けた支援提供
  ・一般社団法人まちはチームだを通じた共創事業の創出・展開
 ③-2: 創生塾自体のプログラムの強化
  ・継続的な創生塾のセミナーの場の提供
  ・より踏み込んだコーチング的な場の提供
  ・秘密基地に限らない、必要とする人たちのところへの出張
 ③-3: おもてなし規格認証他による具体的な事業展開
  ・おもてなし規格認証のモデルケースを北九州で創出
  ・具体的な事業事例をつくり、他地域に展開(鳥栖とも連携)
  ・おもてなし規格認証に限らず、新たな具体的事業創出を随時実施

 

 今回の新たな気づきとしては、創生塾というより私は結果的にまちづくりや企業経営、政策などにも関わってるにすぎなかった、ということ。そして結局、つながったひとに好奇心をもって関わり、一緒に楽しいことをして、何かを創り出したいという想いで動いている、ということでした。どんなこともひとが創っているもので、ひとが変わればまちもしごとも当たり前のように変わる、”ひと”に対して”ひと”として向き合うことがすべての源泉、というのは自分の中のゆるぎない哲学なんだなと。ゆえに毎回、どんな場面でもひとやコミュニティの話に最終的につながってしまうんですね。今回、鳥栖の皆さんともこの哲学を深く共有できたと感じています。もちろん、秘密基地ではもともと共有できてました(ちゃんと気づいてなかったですが)。こうして場を持つと、伝える側であっても学ぶことは常にたくさんあると改めて実感します。ちなみに写真は登壇中に岡さんと進め方を相談するの図。

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 終了後は交流会(すでにお酒が入っていたので、もはや2次会といったほうがいいかもしれません)に移動。鳥栖本通筋商店街振興組合・理事長 兼 鳥栖市商店街連合会・会長の緒方俊之さんが経営される串揚げ居酒屋のアンテナへ。なんだかんだと盛り上がり、気が付けば日付も変わるころに。よい対話があると、時間はあっという間に過ぎるものですね。

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 鳥栖では3月中旬に第2回を開催予定。秘密基地のコミュニティで欠かせないツールとなっているFacebookをはじめとしたSNSの活用講座を開催します。講師は創生塾の発起人の一人でもあり、SNSの第一人者であるKA-TSUさん。KA-TSUさんのブログのKA-TSU Logも大人気ブログです。KA-TSUさんの講座は単にSNSの使い方ではなく、ひととのつながり方・ひととしての在り方というところまで踏み込むので本当に深い。きっと次回も鳥栖で夜遅くまで楽しい対話の時間ができるんだろうなと、密かに期待しています。ちなみに秘密基地でも創生塾は随時開催しています。

 

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経済産業省×ミャンマー NIN2ビジネスコンペティション受賞者発表会@東京を開催

 2/7に東京にて「NIN2コミュニティイベント ビジネスコンペティション 東京発表会」が開催されました。同イベントはミャンマーで開催されたビジネスプランコンテストで、経済産業省とUMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)との共同開催。私は審査委員長を務め、今回は総評を発表いたしました。3組の入賞者はミャンマーの未来のとても情熱を持っており、新しい未来を生み出す力に溢れ、とても素晴らしい会となりました。多少なりとも力になれたのなら、本当にうれしく思います。

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 今回のイベントは経済産業省が進めている親日・知日コミュニティ形成事業、通称NIN2(ニンニン)の一環。そもそも親日・知日コミュニティ形成事業が何かというと、日本に留学や仕事で来ていてそれぞれの国に帰った方たちと、日本とのつながりをつくっていこうという取り組み。事業ブランド名称は Nippon New Network for Inovation で、これを短縮してNIN2が通称となっています。読み方はニンニン。忍者ハットリくんの口癖みたいですね(古い!)

f:id:fieldflow:20170210233337p:plain(画像をクリックすると公式Facebookページが開きます)

 

 

 このNIN2はFacebook上のコミュニティのほか、マッチングイベント、ビジネスコンペティション(ビジネスプランコンテスト)、各種ワークショップなど実際に対面して行うイベントも多数運営しています。もちろん、日本国内だけでなく、ミャンマーインドネシアシンガポールなど東南アジア中心に各国で実施。今回のイベントはその中でもミャンマーにて2016年11月に開催したビジネスコンペティションの発表会という位置づけでした。ちなみに私はこのNIN2の有識者委員を務めており、ミャンマーでのビジネスコンペティションでは審査委員長を務めるため、1泊3日の弾丸ツアーで11月にミャンマーに行ってきております。こちらの画像はミャンマーでのイベントの様子。

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 さて今回はこのビジネスコンペティションの受賞者3組のプレゼンからスタート。その後私は総評コメント、ということで15分ほどお話する時間をいただきました。といっても、どのように審査したか、こうした場がなぜ必要か、というところを簡単に触れた程度で、やはりメインは3組のビジネスプラン。審査委員長という立場からも、ぜひ来場されている皆様と、受賞者がこの場でつながり、対話を継続し、実践的な活動へとつなげていっていただくことをただ願っていました

 ちなみにビジネスコンペティション自体には多くの応募があり、1次審査で15組に絞られ、さらに2次審査で7組に、そして最終審査のプレゼンテーション大会にて3組が優秀賞を受賞しました。受賞した3組のビジネスプランは、医薬品・コスメティック関連事業、物流関連事業、人材育成関連事業といったもの。今回はこの3組の受賞者を日本に招き、実際に日本の関連する企業を紹介して将来につなげていこう、という場にもなっています。こちらの写真はミャンマーで受賞決定したときの写真です。

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 一つ目の医薬品・コスメティック関連事業は、チームRAの二人によるプラン。ミャンマーの伝統的な化粧品であり蚊よけにも使われる“タナカ”を使い、デング熱など蚊が媒介する病気を防ぐとともに低所得者層に雇用を生み出そうというもの。ミャンマー伝統文化と現代の科学技術を融合して、貧困の問題や医療の問題に貢献することに期待大です。

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 二つ目の物流関連事業はチームIrrawaddyから。Amazonのようなオンラインの仕組みとKIOSのような小さなお店の仕組みを組み合わせて、ミャンマーに安定した物流を創っていこうというもの。物流は地域の重要なインフラ。ミャンマーの発展を支えるためにも、ミャンマーらしい物流の仕組みを創っていただきたいです。

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 そして3つ目の人材育成関連事業はチームReOから。ミャンマーの若年層をメインターゲットに実践的な仕事の教育プログラムとパートタイムでのプロジェクト参画機会(仕事の機会)を通じ、正規での雇用機会を提供していこうといもの。“ひと”が育つことは、すべての活動の根源。ミャンマーの若い世代により実践的な知恵を届け、広く活躍できる機会を創っていってほしいですね。

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 いずれのビジネスプラン、そして今回惜しくも受賞に漏れた4組についてもミャンマーの社会背景を抑え、ミャンマーの未来を想う情熱溢れるプランだったと感じています。そして3組のプレゼンテーションが素晴らしかったこともあり、終了後の名刺交換会は大盛況。来場していた日本の企業経営者が、次々と各組との名刺交換・意見交換を希望され、かなり長い時間の名刺交換会となりました。

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 翌日2/8はアフターイベントで、DBICにて関係者の交流会。ちょっとの食事で息をついて、それぞれ受賞者は個別に日本の企業を回り、アドバイスをもらったり、今後の事業の可能性を議論したりしています。こうした取り組みを継続することが、将来的に何かを生み出すことになるんだろうなと感じるイベントとなりました。

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 最後におまけネタ。実はミャンマーに1泊3日で行った際、ヤンゴンにあるSummit Parkview Yangon Hotelに泊まったのですが、なんと部屋にカードケースを忘れてしまうという大失態。気づいたのはすでに帰国後。会員カードとかいろいろは行ってたのでどうしようか思い、同ホテルに問い合わせたら快く、しかもすごく丁寧に対応してくれました。ウェスタンユニオンの送金サービスで送料を送ると、お金を受け取りにわざわざ現地の代理店にホテルスタッフが行ってくれてしっかりと梱包して日本へ。なんだかんだ手続きで2か月ぐらいかかってしまいましたが、無事にカードケースは今手元に。ミャンマーの国のやさしさ・温かさに触れる出来事に結果的になりました。でも次から海外での忘れ物には注意しよう。ちなみにこれが忘れたカードケースです。

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www.summityangon.com

 

楽しくなければ仕事じゃない ~ブラックから抜け出す処方箋~

 仕事を進めていくうえで効率化の議論は避けては通れません。しかし、同時に事業脚本家として生きる私としては、仕事も楽しいもの、驚きと喜びと安心に満たされているもの、幸せなものであってほしいと考えています。ゆえに効率的であることと、楽しいものであることの2軸があってこそ、いい仕事なのではないかなと考えています。そして楽しさをちゃんと追及できれば、ブラックなお仕事も変えていくことができると考えています。バリューチェーンファイナンスの江上さんに触発されて、普段講演とかで話している内容を書き起こしてみました。

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 “効率的であるか”どうかという軸と、“楽しいか”どうかという軸を組み合わせると、4つの分類が見えてきます。まず“効率的であるか”だけを追求し“楽しいか”どうかを軽視すると、いわゆる合理主義の仕事になります。とにかく時間短縮、コスト削減、売上・収益重視。いかに小さい投資・費用・労力で、最大限の利益・効果・成果を得られるかが重視されます。しかも物理的に、わかりやすく。世の中の多くの組織がこの合理主義になっているのが、資本主義社会を積み重ねてきた現代の実情だと捉えています。

 そしてこの合理主義には大きな欠陥があります。効率的であることを求めて築かれていますが、あくまでもある瞬間の社会環境・事業環境において効率的であるにすぎません。社会環境・事業環境に変化が起きれば、これまで効率的であったものが非効率になります。するとどうなるかというと、効率性は当然下がります。残念ながら、効率的でもなく、楽しくもない仕事が仕上がります。いわゆるブラックな仕事になっていきます。なお、そもそも“効率的であるか”を追求したにもかかわらず、効率的にできない残念すぎるブラックなお仕事も世の中には存在しています。

 さて、ここで面白いのが効率性を追求し、合理主義からブラックに変わってくる、もしくはブラックでとどまっている仕事はその後何をするかというと、やっぱり“効率的であるか”を追求します。つまり良くて合理主義になる、悪ければブラックをさらに助長することになるわけです。

 なぜこのようなことが起きるのでしょうか。一言でいえば“楽しいか”どうかを全く考えていない、仕事を通じた幸せや精神的充足をまったく考慮していないことが大きな要因だと捉えています。

 ではどうしたら合理主義とブラックで行き来する世界から抜け出すことができるのでしょうか。まず、“効率的であるか”だけを追求するという呪縛をまず外します。そして“楽しいか”、つまり仕事を通じた幸せや精神的充足が得られるかどうかを真剣に考え、実践していきます。これは経営者・リーダーの判断・意思表明を明確にし、行動が伴えばできます。つまり、経営者・リーダーの責任において行うべきことです。すると、効率的ではないかもしれませんが、楽しいと感じれる状態は創ることができます。生きがい・やりがいを感じれる、情熱を持って打ち込める、想い重視の仕事が出来上がっていきます。

 ただし、想い重視の仕事にも問題があります。小ぶりな仕事になりやすいことと、お金が続かない、事業として継続できないという壁にぶつかることが多いのです。結果、あきらめて続けられなくなってしまうことも少なくありません。なぜかというと、“楽しいか”どうかを追求するあまりに、今度は“効率的であるか”を軽視しすぎてしまうからです。

 そこで最後の処方箋は、想い重視の仕事を効率的にしていく、というものです。想いがあるからこそ、武器として効率化を実現する手段を提供していく。すでに合理主義で培った知見がたくさん世の中にあるので、さほど難しくないでしょう。すると、楽しくもあり、かつ効率性も高く、“なんでもできる”・”どんどんできる”という最高に力強い状態、最高の仕事ができるようになります。スポーツでいうところのゾーンと呼ばれる状態であったり、心理学でいうフローという状態が仕事の中で実現されていくというイメージですね。

 というわけで、まずは“楽しいか”という観点を追求し、そのうえで“効率的であるか”という観点を加えていくことが、仕事をより良いものに、仕事だけでなくいろんな取り組みを価値ある力強いものに変えることができるのです。そして一番重要なのは“楽しいか”という観点を重視する姿勢を経営者・リーダーが示せるか。いわば経営者・リーダーの資質がもっとも問われているといってもいいかもしれません。

 

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